長年にわたりさまざまな分野から膵がん研究がなされてきましたが、膵がん細胞そのものについて、未だわかっていないことが多くあります。近年、同じ人の膵がんの腫瘍(塊)の中には形態的にも機能的にも異なった、さまざまながん細胞が存在していることが明らかになってきました。少数の「がん幹細胞」と呼ばれる自分と同じ細胞を作ること(自己複製能)と、さまざまな種類のがん細胞を作ること(多分化能)ができる特殊ながん細胞が、がん細胞の多様性に重要な役割を果たしていると考えられます。さらに、がん細胞にも正常細胞の機能が残存しており、がん細胞周囲の環境により、その形態や機能が大きく変化します。上 皮 間 葉 転 換 (Epithelial-mesenchymal transition/EMT)により、がん細胞が性質を変化させることで、移動能や転移能が亢進し、抗がん剤にも耐性を示すようになることが報告されています。このような、がん細胞の多様性と可変性によって転移しやすいがん細胞が生まれたり、抗がん剤や放射線治療の後でも少数のがん細胞が生き残り、がんの再発がおこることが考えられます。私達はがんの多様性と可変性に注目し、膵がんの「がん幹細胞」と「上皮間葉転換」について研究を進めています。
2019.12.06 | |
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2019.08.07 | |
2019.05.31 | 【がん幹細胞】血清を含む培地で培養されたヒト膵癌細胞のスフェアは大型で、癌幹細胞マーカーの発現も増加している |
2019.05.31 | 【がん幹細胞】長鎖非コードRNAのH19は膵癌のスフェア形成と、CD24およびインテグリンを介した浸潤に関与する |
2019.06.08 | |
2019.05.31 | 【がん幹細胞】長鎖非コードRNA, H19の発現を減少させることで膵癌の転移を抑制 |
2019.05.31 | 【がん幹細胞】3D培養によって、幹細胞性と抗がん剤耐性を示すABCG2高発現膵癌細胞が誘導 |
2019.05.31 | 【がん幹細胞】ヒト膵癌のスフェアを形成する癌細胞の電子顕微鏡による解析 |
2019.04.26 | |
2018.01.01 | 【上皮間葉転換】正常細胞とがん細胞における線維芽細胞増殖因子受容体-2(FGFR-2)の選択的スプライシングの役割について |